命尽きるまで
灯栖様と茶々丸様
宇佐ノ茶々丸様との4度目の交神で聞いた言葉、それは「おいらがついてますから」でした。
以前までの軽薄さはなりを潜め、優しく穏やかな声音でした。それを初めて聞いた時の衝撃が忘れられません。
初代当主は、一族の他の誰とも共有することのできない立場を生きていきます。幼くして両親を奪われ、幼くして「親」になり、子を連れて戦いに挑むその人の気持ちを理解することは初代当主の最初の子にも不可能ではないでしょうか。
ただ、茶々丸様のあの言葉を聞いて、思いました。
あるいは神様なら、短命の呪いを背負わされた一族とは対極にいる、人智を超えた呑気な神様なら、共感こそしてくれなくても、灯栖様が寄りかかることのできる存在になれるのかもしれない。
四度に渡り、共に子をなした茶々丸様なら。
最初から最後まで母として生き抜いた灯栖様が、その弱さを見せられる相手に出会えて本当によかった。